飲食店で起きるPDCAサイクルが改善に結びつかないケース1
■「Plan→Do→自己満足」型に陥っていることを認識していない
まず、これまでのコンサルティング経験上、PDCAサイクルが改善に結びつかなかった原因として最も多くみられたケースが、「Plan→Do→自己満足」型です。
特に規模の小さい飲食店経営の現場では、PDCAサイクルといった用語が用いられることはまず無いものの、経営改善のために「改善目標を立て」→「実行する」、
このプロセスが実践されている状況は見受けられます。
PDCAなどと大仰に聞こえますが、所詮は語呂合わせの類とさほど変わらないわけであって、用語の既知未知などは問題ではないので、
自身の店の経営を改善させるために「Plan」で練った目標に向け実行(Do)していくまでのプロセスは往々にして為され、表向き他業種と同様です。
しかし、PDCAサイクルは特質上、何もかもが「Plan」通りに運ぶ機会は決して多くはありません。
目標を立てて行動すればすべて描いた通り改善するなどといったことは、常識的に考えにくいことであるはずです。
場合によっては「Do」の途中で「Plan」が頓挫し、最後まで実行できないことに気付かされる場合もあるわけですが、
回っていない飲食店では、「Do」での結果が「Plan」からあまりに望む結果とかけ離れたものであるがために、経営者自らの主観でゴールを移動させたり、
結果が良くも悪くもそこで自分を納得させて完結したりと、自身の主観で本来の「Plan」から乖離した地点に着地したことを、
さも思い描いていた結果のように着地したかのように日和見的に納得させているケースが多く見られます。
しかしながら、経営改善の必要性は強く感じることから、
再び次の「Plan」を立て→「Do」するという繰り返しになってしまうがために、PDCAサイクルを回しているような感触は得ているものの、
客観的に見れば実際には回っているわけでは無い、即ち「PDCAサイクルを回している」=「経営改善には取り組んでいる」という錯覚に陥っているのです。
いわゆる「やっているのに・・・」は飲食店のコンサルティングの現場で非常に良く聞かれる、この状況が生じさせる言葉でしょう。
PDCAサイクルを回すためには、まずは「Plan」からかけ離れた結果に着地したとしても、中途で「Plan」の軌道を修正するのではなく「Do」で得られた結果を直視することが重要です。
こうして「Do」で得られた結果を基にして、次の段階である「Check(評価)」に進み、さらに「Act(改善)」するわけですが、
「Check」段階が機能していないケースも目立つところです。
「Check」が機能しない要因は大きく3つ。
ひとつは前述の自己満足型と重複するところでもありますが、「Do」の評価に客観性が無く、時に独善的になされていること。
2つめは「Plan」を数値化していないがために行動と評価に具体性が伴わないこと。3つめは検証・評価にかける時間が不十分であること。
「Do」と「Act」を混同し、間にあって然るべき「Check」の必要性に意識が至っていないことも考えられますが、どこに問題があるにせよ、
「Check」の段階が曖昧であると適切な「Act」が行えず、その後のサイクルを回すことが出来なくなってしまうという問題に繋がります。
ですので、①評価には客観性を持たせ、結果は良し悪し問わず直視し評価する、②「Plan」を数値化するために普段から数値の管理徹底を行う、
③検証・評価、仮説の立証には適切な時間をかけて行い、④一連の流れはレポーティングしておくことが、「Check」段階を機能させ、延いては次のサイクルを回すことにも繋がるのです。
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