ROI(アール・オー・アイ)とは、投資回収率の英語表記:Return On Investmentのイニシャルであり、
投資回収率とは、投資した資本に対して得られた利益(利益効率)のことを指す。投資対効果、投資収益率、投資利益率などとも。
投資回収率は、通常は発生した利益と投資額との商により求められ、ROIが高ければ投資効率が良い、
低ければ悪いなど、その投資(ビジネス)の効率性を端的に表すことのできる指標である。
■ROI算出式
利益(売上-経費)÷投資額×100=ROI(%)
また、飲食店の経営に関しては、求められたROIから開業時発生した開業費用を何年で回収できるかが求められることから、
開業前の運営シミュレーションの指標として頻繁に用いられる。この場合の算出式は以下の通り。
■飲食店の開業シミュレーションに用いる場合のROI算出式
予測年間営業利益÷開業費用×100=ROI(%)
例えば、レストランの開業費用に3,000万円が必要であり、
年間の営業利益を375万円と試算した場合の投資収益率は12.5%であるから、
開業費用全体の12.5%を1年で回収できると考えた場合、開業費用すべての回収に必要な期間は8年である。ここから8年で元をとり、
9年目以降発生する利益が純粋な利益(儲け)と考えることが出来る。
開業費用全体(100%)÷ROI(単年12.5%)=回収期間(8年)
逆に、5年で元を取ることを考える場合には、20%のROIが必要であるため3,000万円の開業費用に対し年間600万円の営業利益が必要になる。
ただし、年間営業利益600万円を上げることが見込めるなら、これを達成することはできるが、年間600万円の利益計上が困難であると予測するなら、
開業費用を2,500万円に圧縮または削減することで、必要年間営業利益のハードルを500万円まで下げることが出来るなどといった具合に、
目算を立てることに利用ができる。
同業態の飲食店が同一商圏内に乱立する状況では、往々にして長続きしない傾向が見られ、これを開業当初から想定し、
投資回収期間を3年に設定する飲食店(特に居酒屋などでよくみられる傾向)もあるが、その場合の投資収益率は33.3%、
1,000万円の初期投資に対し1年間の営業利益に333万円を設定する必要がある。
また、投資回収率と同様の経営指標に、経営資本営業利益率がある。経営資本営業利益率は営業利益と経営資本の商に100を乗じて求められ、
経営資本が生み出すことが出来る営業利益の割合であるが、「中小企業の経営指標」平成15年度版(中小企業庁)によると、
経営資本営業利益率の飲食店平均は11.7%(初期投資回収に約8年半必要)であった。このことは、
数年前に比べ飲食店全体としては収益力が低下していること、飲食店経営における収益モデルが変化してきていることなどを示している。